アスベストの危険性と解体工事の進め方〜安全に工事を行なうために〜

みなさんは「アスベスト」という単語を耳にしたことがありますか

アスベストとは建築資材のひとつで、日本語では「石綿」と呼ばれています。

その使い勝手の良さから使用範囲は幅広く、高層建築物から一般住宅にいたるまで活用されてきました。

 

ですが、のちに人体に深刻な健康被害をもたらすことが判明。

一時は、連日のようにメディアなどで取り上げられるほどの社会問題にまで発展しました。

 

解体工事という観点から見ると、このアスベストが「使用されている・されていない」では、解体手順や方法が変わってきます。

 

そこで今回は、

  • 人体に影響を及ぼすとされるアスベストについて
  • アスベストが使用されていた場合の解体工事の進め方

について詳しく見ていこうと思います。

 

1.アスベストとはどのようなものなのか

アスベストは綿のようなフワフワとした質感で、加工が施しやすいため、一般住宅では主に屋根材や外壁材、内装材、吹付け材、断熱材等に使用されてきました。

特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 断熱性に優れている
  • 吸音性・吸着性に優れている
  • 引っ張り強さがある
  • 価格が比較的安価
  • 汎用性が高い 

 

ここだけを切り取ってみると、いいこと尽くしで、非常に良い建築資材のように感じられますね。

人気があったのにも、じゅうぶん納得がいきます。

 

2.アスベストの有害性はどんなところにあるのか

アスベストの有害性が最初に指摘されたのはずいぶん前で、そこから段階的に品種等によって使用を規制されてきました。

 

初めて規制がかかったのは、1975年(昭和50年)にまでさかのぼります。

その後徐々に波が広がり、ついに全面的に使用が禁止される事態にまで至りました。

 

その最も大きな理由こそが、健康被害の報告です。

 

国が調査を行った結果、一定の条件のもとで長期間にわたってアスベストの吸入ばく露を受けた場合、肺や気管支に深刻なダメージを与えることが判明しました。

 

ですがアスベスト材そのものに、毒性は認められていません。

では、なにが危険なのか。

 

 

それは「大気中に飛散した繊維」を吸い込んでしまうことです。

石綿の繊維は、肺に吸入されても分解されないという厄介な特性を持っており、体内に蓄積されていきます。

それが肺がんや悪性中皮腫、石綿肺の原因となるのです。

非常に怖い話ですよね。

 

このアスベストですが、吸ってしまってからすぐに病気になるのかと言われればそうではなく、約15年から最長で50年ほどの長い潜伏期間を経て発症します。

そのため、アスベストを吸入してしまった方については、定期的な健康診断の受診が推奨されています。

 

また、現在進行形で仕事で扱っているという場合は、事業主に健康診断の実施義務が課されているため、受診が必須となります。

 

万が一、アスベストが原因で罹患した場合も、「業務上疾病」と認定されれば、労災として治療を受けることができますので、少しでも心あたりがある方は、調べてみるといいかもしれません。

3.解体工事とアスベスト

全面禁止の措置がとられるまで、日本全国で普及していたアスベスト。

事実、昭和63年頃までは本当にさまざまな建築現場で使われていましたので、もし建築時期がそれ以前ということであれば、どこかしらに使われている可能性が大いに考えられます。

そのため、もし該当する場合は、工事前にアスベストが使用されているかどうかを調べる必要があります。

(1)自分の家に石綿が使われているかを調べる

まずは、当時の設計図などを探し、使用されている建築材料を書面にて調べてみてください。

もし設計図等が見つからない場合も、できる限り当時の情報をかき集めておくことが大切です。

 

その時点でアスベストの使用が確認できた場合は、専門業者に調査の依頼をしましょう。

 

依頼を受けた業者は直接現場を訪れて、目視による現場調査を行ないます。

万が一目視調査で使用の有無を判断しかねる場合でも、分析調査を実施してしっかりと確認をしていきますので安心してくださいね。

 

(2)アスベストが使われている家は、どう解体する?

アスベストが使用されている建物の解体には、3段階で危険度レベルが設けられていますこれは簡単に言うと、粉じん性の高低によって決められるもので、業者はそのレベルに準ずる形で、必要な作業を進めていくことになります。

ここからはその手順について、見ていきたいと思います。

 

手順1. 届出・作業届を提出する

「特定建築材料」にあたる、吹き付けアスベストなどの建築材料を使用している建物に関しては、着工の14日前までに都道府県などに届け出る要があります(レベルの程度による)。

気をつけていただきたいのが、その届け出を提出するのが我々業者ではなく、皆さまになるという点です。

諸手続きについては、県や自治体のホームページなどに記載がありますので、お調べいただくか、直接問い合わせをしてみると良いでしょう。

また現場の状況によっては、「石綿飛散防止方法等計画届出書」と呼ばれる工事計画書の提出が必要になる可能性もありますので、合わせて確認しておくと確実でしょう。

 

手順2. 近隣への周知を行なう

各種の届け出が無事に受理されたら、近隣の皆さまへ工事の周知をしていきます。

これは、アスベストの除去作業の有無は関係なく、工事前に必ず行なうべきことですね。

周知のやり方は、主に2つ。

  1. 石綿ばく露防止対策等の実施内容を記した看板を現場に設置
  2. 近隣住宅を訪問し、挨拶と説明をする

 

この挨拶まわりの際に特に重要なのが、石綿の除去作業が発生することをしっかりとお伝えすること、そしてどのような対策をとるか等を丁寧にご説明すること

 

もちろんここはプロである業者が入り、しっかりと説明していきますのでご安心ください。

 

当然ですが、人によってはアスベストと聞いて、粉じんの飛散などによる二次被害に不安を覚える方もいらっしゃいます。

こうした不安を少しでも取り除くためにも、事前の説明は非常に大切になってくるのです。

 

手順3. 最大限の配慮をして作業を行なう

いざ、解体作業に入るとなった際に大切なことは何でしょうか。

今回は3つに絞って、ご紹介していこうと思います。

(1)作業場所を密閉・隔離する

アスベストの除去作業で最も重要なこと、それは養生です。

通常の解体工事の際にも、養生シートは大変重要な役割を果たすものだというのは、これまでもお伝えしてきましたよね。

養生はアスベストの除去作業においても、非常に重要なカギを握ります。

作業時は、繊維の飛散を徹底的に防止するために作業場所を密閉・隔離する必要があるのですが、その際に活躍するのが写真のポリシートです。

ポリシートは密閉性が非常に高く、飛散する確率をグッと抑える効果があるからです。

 

余談ですが、悪質な例として、ほとんど密閉性がないブルーシートなどを使われた!という話も耳にしたことがあります。

アスベスト除去を含む解体工事は、健康被害にも繋がる重要なことですので、低価格・時短を売りにしている業者には特に注意しましょう。

 

(2)粉じん飛散抑制剤を撒く

次に、アスベストの細かい繊維が風に乗って飛び散ることがないように、特殊な溶剤(粉じん飛散抑制剤)を散布します。

一度大気中に飛散してしまうと、その繊維は肉眼で確認することができないほど非常に粒子が細かいのが、アスベストの特徴でしたよね

目視で確認できないということは、気づかないうちに吸入してしまう危険性があるということ。

それを阻止するためにも、溶剤を散布して湿潤化を図るというわけです。

 

 

(3)アスベストの除去・運搬をする

抑制剤の効果が確認できたら、いよいよ除去作業。吹き付けアスベストは、ケレン棒やスクレーパーと呼ばれる金属製のヘラなどを使い、掻き出すことで除去ができます。

 

その際に大切なのが、作業員が呼吸用の保護具(防じんマスク)や、保護衣をしっかりと身につけていること。

何度でも言いますが、アスベストは吸い込んでしまうと非常に危険な繊維ですので、作業員の安全確保は、業者の最重要責務です。

 

その後、除去したアスベストを専用機械を用いて真空圧縮します。

こうすることで、繊維の飛散も防げますし、廃棄物の減容化にもつながっていきますよね。

 

圧縮された廃棄物は、専用の処理袋(写真参照)に入れられて処理場へと運びだされます。

アスベスト廃棄物は、中間処理施設もしくは最終処分場などの処分施設まで直送することが大原則。

途中で積み替え作業などを行うと、飛散の可能性があるからですね

最後の最後まで、飛散を防ぐための徹底した作業管理が必要になってくるというわけです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は皆さんに出来るだけ分かりやすくお伝えできるよう、かいつまみながら、アスベストについて触れてきました。この記事を読んでいただいただけでも、アスベストの危険性や、処理するには危険度レベルに応じて、それ相応の対応をしなければならないということがお分かりいただけだかと思います。

一歩間違えれば人体に甚大な影響を及ぼす可能性があるため、アスベストが使われている建物の解体には、皆様のご理解・ご協力が必要です。

事前にご説明させていただいたうえで、作業などは法律に則って適正な処理を行いますが、ご不安な点がある場合は、遠慮なくお申し付けくださいね。

 

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