手付かずの空き家―空き家に関する法律と解体について詳しく解説

近年、ニュースでもたびたび取り沙汰されているのが「空き家」問題。

 

高齢化社会が進む日本において、いわゆる団塊世代と呼ばれる世代からの相続が増えているのは、周知の事実だと思います。

なかでも家を相続するというケースは、何ら珍しくないでしょう。

ですが、相続をめぐっては、様々な問題が発生することも。

 

そのうちの一つが、増加の一途をたどる空き家問題です。

そこで今回は、「空き家」と「解体」の2つのワードを軸に解説していきます。

 

1.なぜ空き家が出来るのか

内容に入る前に前提として知っておきたいのが、なぜ空き家がたくさんできてしまうのかという点です。

総務省統計局では、5年ごとに国内の土地や家屋についての数値をまとめた「住宅・土地統計調査」を発表しています。

 

その調査によると、2021年時点での世帯主のいない住宅の軒数は、なんと約876万戸に及ぶことが分かりました。

 

いかがでしょう。
皆さん多少なりとも、その数の多さに驚かれたことと思います。

それもそのはずで、この軒数は、昭和55年から始めた調査以降、過去最多と言われているのです。

 

どうしてここまで空き家が増加してしまっているのでしょう。

それにはいくつかの理由が考えられます。

 

(1)高齢化社会の加速

令和2年度の国税調査から、約20人に1人が団塊の世代であることが分かりました。

つまり、それだけの数の人が75歳以上、いわゆる「後期高齢者」へと足を踏み入れていることになります。

 

こうして高齢化が進むと、以下のようなことが起こりやすくなり、それが彼らの住む家にも影響を及ぼしていきます。

 

  • 体調を崩して入退院を繰り返すようになる
  • 自立した生活が困難になり、老人ホーム等の施設に入所する
  • 息子・娘等の家族が、自宅での同居を促し、共同生活になる
  • 亡くなる etc..

 

もちろん、人生の先輩方がいつまでも元気でいてくれたら一番良いのですが、なかなかそうもいきませんよね。

年齢を重ね、自力での生活が難しくなったときなどに、やむを得ず家を手放したり、空けることになるケースはとても多いといえるでしょう。

 

(2)相続問題・管理問題

次に考えられる理由が、相続時のトラブル

家の所有主が亡くなった場合、その家は相続人へ継がれていきます。

ですが、この相続人にあたる人物が複数いるとすると、誰が継ぐのかという根本的な相続問題が発生する可能性があります。

 

なぜなら、不動産は複数人での所有が困難な資産にあたるためです。

 

あまり揉めたくない部分ではありますが、どうしても折り合いがつかなくて、トラブルに発展するなんてことも珍しくありません。

 

たとえ相続人が限定されていたとしても、その人が既に自身の家も所有していた場合、相続した家を建て替えて改めて住むのは、あまり現実的ではありませんね。

 

そうなると「さて、どうしよう…」となり、判断に迷った結果、そのまま放置されてしまうというわけです。

 

もう一つが、上京をしており、地方に残された空き家の管理が難しいというパター

日々忙しい生活を送っていると、片付けや掃除、手続きなどで頻繁に地元に帰れないこともありますよね。

そうこうしているうちに、気づいたら時間が経っていたなんてことも考えられるでしょう。

 

(3)節税対策も関係してる?

皆さんは、住宅用地に対する課税標準の特例についてご存知ですか?

詳しく知りたいという方は、その土地がある自治体のホームページ等に記載がありますので、チェックしてみてくださいね。

 

簡単に言うと、居住のための敷地(住宅用地)として利用していると判断された土地について、固定資産税が軽減されるというもの。

 

つまり仮に空き家を解体した場合は、住宅用地として判断されず、この特例の対象外になってしまいます。

そのため、節税対策の観点から放置しているというケースもあり得るかもしれません。

 

どうでしょうか。
色々と述べてきましたが、こうしたことが理由となり、手付かずのままの空き家の数が増えてきているというわけです。

 

ですが、社会問題にもなった空き家の数。

放っておくわけにはいかないですよね。

 

そこで、国は少しでもこの問題を解消しようとして、法律を整備しました。

それがこの後にご説明する、「空家等対策特別措置法」になります。

 

2.空家等対策特別措置法ってどんな法律なの?

「空家等対策特別措置法」とは分かりやすく言うならば、空き家の活用や処分・解体をサポートするために作られた法律のこと。では、この法律の施行により、それまでと何が変わったかについて見ていきましょう。

 

もっとも大きな変化は、「特定空き家」と認定された空き家の所有者に対して、行政が修繕・撤去の指導や勧告、命令をできるようになったという点です。

 

もし、行政側の指導を受けたにも関わらず改善されない場合は、その次の手段として勧告が出されます。
この勧告を受けてしまった場合、先ほどの特例措置の対象からも除外されることとなるのです。

 

そうすると、なにが起こるのか。

なんと…固定資産税が、最大で6倍にまで跳ね上がってしまうのです。

6倍なんて、聞いただけでもゾッとしますよね…。

 

この恐ろしい認定が下される可能性のある「特定空き家」とは、以下のような家を指します。

 

  • 倒壊など安全上問題がある家
  • 衛生面に問題がある家
  • 管理の不行き届きで、景観を損ねている家
  • 周辺の環境の保全において不適切と判断される家

 

当然ですが、管理する人のいない家屋というのは、経年劣化などが理由で状態が悪化していきます。

そのこと自体は致し方ないことではありますが、この法律ができてから、長い間放置したままにすることが難しくなったというのが現実です。

 

では、所有者はどうすべきなのか。

答えは意外とシンプルで、「放置」するのではなく、「活用」するという手段を選べばよいのです。

 

3.空き家を解体したいと思ったら…

さて、これまで空き家の実態と、空き家対策のために整備された法律について触れてきました。

ここからは、空き家を「活用」するにはどうしたら良いかをみていきましょう。

 

一口に活用といっても、その方法はさまざまなので、解体するもよし、改修するもよし。

ですが、私たちは解体業者ですので、今回はその中でも解体について取り上げようと思います。

(1)解体費用が補助される場合がある

もし空き家を解体するとしたら、当然解体工事を行なうための費用が発生します。

ですが嬉しいことに、実は一部の自治体では、その費用を補助してくれる制度があるのです。

 

それぞれの自治体によって補助金制度の名称や、利用できる条件が異なりますので、役所に問いあわせて、制度の有無も含め確認をするようにしましょう。

 

(2)補助を受けられるかどうかの決定には時間がかかることも

補助金制度は、申請するだけで利用できるわけではありません。

申請後、厳正な審査をクリアする必要があるのです。

 

審査は、その土地が確かに申請されたところにあるかどうかや、受給対象のエリア内に入っているのかといった基本的な確認から始まります。

そして、実際に危険をもたらすほど老朽化が進行しているかなどを、役所の担当者が現場に赴いて診断していきます。

 

このような段階を踏み、「適用条件が満たされている」と判定されたところではじめて補助金が下りることになるのです。

そのため、実際に補助を受けられるかどうかが分かるまでには、数週間程度時間がかかることを想定しておいたほうがいいでしょう。

 

ある程度ゆとりをもって資金計画を立てておけば、予想より遅くなってしまったとしても、慌てることなくプランを進めていくことができますよ。

 

(3)できるだけ自分で手続きを行うようにする

補助金の申請手続きなどは、住宅建設会社や解体会社などが情報を提供してくれて、代行してくれることがあります。

彼らはプロとしてたくさんの経験を積んでいますので、施主様にとってはありがたい助けかもしれません。

 

しかし、ほとんどの会社では、こうした手続きを代行するにあたり、手数料を徴収しています。

 

そのため、申請・審査を通過して補助金が受けられることになったとしても、そこから手数料分などを差し引かれてしまうことに。

せっかく受けられた補助金を100%活用したいのであれば、多少面倒であっても、自分たちで申請手続きをするのがベストでしょう。

 

まとめ

この記事を読んでくださっている方の中には、現在進行形で空き家を抱えており、どうしたらいいか分からないなんて人も多いのではないでしょうか。

 

空き家の数だけ、そのままにされている理由があるのだと思います。

相続問題や、土地・場所柄の問題、はたまた思い入れなど…。

ですが、増えていく一方の空き家に対して対処する法律が定められた以上、いずれは何かしらの決断を下さなければならなくなってしまいました。

 

もしその決断として、解体という道を選択するのなら、少しでも画面の向こうでお困りのあなたを、私たちでお力添えできれば幸いです。

 

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