【実際の事故例も…】解体業者がとるべき安全対策とは?~安全第一で工事をするために~

 
皆さまもご存知のように、解体工事は大きな重機で建物を壊していくものです。
 
 
 
そのため「安全」という観点から見ると、しっかりとした対策を施さないと重大な事故を起こしかねない、危険を伴う工事と言えるでしょう。
 
 
 
 
先日も弊社からほど近い神奈川県内某所にて、解体予定の建物の外壁とその周りを囲っていた足場が崩壊する事故が起こりました。
 
 
 
 
幸いなことに怪我人は出なかったようですが、隣接の建物や周辺道路の通行止めなどで現場付近の多くの方に影響が出たそうです。
 
 
 
 
解体現場における事故は、ひとたび事故が起きるとその影響は計り知れません。
 
 
 

だからこそ、施主さまは「安全対策をしっかりとしている業者を選ぶ」こと、私たち業者は「安全対策を徹底し、事故を起こさない」ことが必要不可欠となるわけです。

 
 

今回のテーマは、「解体現場の事故・危険性」

 

実際に過去に起きた解体現場での事故例をいくつかご紹介したあとに、私たち解体業者側の対策や事故防止のための法律にはどのようなものがあるのかなどを見ていきたいと思います。

残念ながら、解体工事の現場における事故は、毎年のように全国各地で発生しているのが現状です。

 

もちろん一口に事故と言えども、その発生原因や規模はさまざま。

 

ここでは、これまで発生した比較的大きな事故例を参考に、その原因を見ていきたいと思います。

 

① 建物や壁・足場などの倒壊・落下

冒頭で取り上げた事故も、このパターンに入りますね。

 

神奈川県では2020年3月にも、横浜市西区の横浜駅西口近くのビルの解体作業中に、防音パネルが崩壊する大きな事故が発生しました。

 

このような崩壊・落下事故というのは、しっかりとした足場組みがされていないことが原因で起こることが非常に多いです。

 

② 足場からの転落

続いて挙げられるのが、足場からの転落事故です。

 

2022年10月、神奈川県某所で足場の解体作業をしていた作業員が体勢を崩して40m下まで転落して亡くなるという、痛ましい事故が起きました。

 

通常、高所で作業をする場合は、安全帯を装着したり親綱等にフックをかけるなど、転落防止対策とるのですが、何かしらの理由でそれを怠った可能性があります。

 

③ 重機の操縦ミス・故障

重機が原因で事故につながるケースというのも稀にあります。

 

2015年5月には、東京都墨田区の労働基準監督署の庁舎の解体現場で、死亡事故が発生しました。

 

この事故は、鉄筋を重機のアームで挟んで方向を転換しようとしたところ、バランスを崩して横転・1m下に転落したことで起きています。

 

瓦礫などが山積している不安定な状態のなかで、旋回作業を行ったことが原因になったと推測されます。

 

④ 作業手順・作業計画の誤判断

解体工事において、非常に重要なのが作業手順の確認や作業計画をたてること。

無計画のまま作業を進めてしまうことが、安全意識の低下につながり、重大事故の引き金になりうるというのは言うまでもありません。

 

実際に事前の作業手順の確認を怠ったことで、大きな事故につながったケースがあります。

 

平成15年3月、静岡県富士市にて8階建ての建物の解体作業をしていた際の出来事です。

 

外壁の鉄骨を内側からワイヤーで固定してから既存の鉄筋を切断すべきところを、先に鉄筋を切断してしまったことで、外壁の一部が公道に崩落するという事故が発生しています。

 

これにより、作業員2名および公道で信号待ちをしていた車の搭乗者4名のうち2名が死亡、他2名が負傷しました。

 

この事故の原因は、作業手順の確認不足・作業計画の誤判断によるものと考えられています。

 

工事関係者以外も巻き込まれるという、なんとも痛ましい事故となってしまいました。

解体業者がとるべき安全対策

ここまで、実際に起きてしまった解体現場における事故の例を見てきました。

 

これらの事故原因に共通していること、それはやはり『解体業者側の安全対策の不足』でしょう。

とは言え、「解体業者って日頃からどんな安全対策をしているの?」という方も多いと思います。

 

一体どのような安全対策を行っている業者が信頼できる業者と言えるのでしょうか。

 

その対策の一部を、ご紹介したいと思います。

 

① 危険予知活動(KY活動)

皆さんは「危険予知活動(KY活動)」というワードを耳にしたことはありますでしょうか。

 

これは、職場等で起こりうる事故や災害などのいわゆる「危険」を未然に防止するための活動のことです。

 

このKY活動の活動、やり方はそれぞれですが、大筋は次のような内容となっています。

 

  • 作業内容・危険性の確認

当日の作業内容に潜む危険性について、作業に携わる者全員で確認・把握し、作業計画に問題があれば修正を行ないます。

  • 危険回避の策を確認

危険を回避するためにどのような策を講じるべきか、具体的な案を出し合って確認します。

  • 目標設定

実現可能な作業目標を作業員全員で共有・設定し、その目標をもとに行動します。

  • 指差し呼称

作業開始前に、作業・動作対象(作業員や重機等)に対し、安全確認・不備・故障がないかをする目的で、指差しをしながら状態を声に出すなどして確認します。

 

事故を起こさないために最も大事なことは、どんな作業にも100%の安全はないということへの、作業員一人ひとりの自覚です。

 

こうした自覚を促すためにも、まず第一に行うべき安全対策が、このKY活動になります。

 

全員が能動的に問題について考え、意見を出し合って実際の行動に反映させる。

 

この動きが、後の作業の際に大切になってくると言えるでしょう。

 

② 工事の動きや現場の状況のコントロール・把握

全体の動きや現場の状況を把握しているかいないかでは、その後の工事の安全確保に大きな影響を与えます。

 

たとえば、重機トラブル。

 

解体の現場は比較的狭いことが多いので、ちょっとした動きのミスで重機同士の衝突を招くことがあります。

 

万が一衝突が起きてしまった場合、足場の状態が悪ければ重機の横転などの可能性が出てきたり、重量物をホールドしているときであれば、破砕物が落下して作業員が大きな怪我を負う危険なども考えられます。

 

こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、あらかじめ現場の状況を見定める必要があります。

 

それぞれの重機が作業をするポイントをしっかりと決めておくことや、重機同士の動きをコントロールするための監視役をたてるなど、事前の取り決めをしておくことが安全対策となるわけです。

 

③ 安全大会への参加

安全大会とは、建設業者が協力業者や下請けを集め、実際の工事現場で必要な安全対策について説明をしたり、意見交換をすることで、一人ひとりの意識づくりをする「決起集会」のようなもの。

 

全国的に毎年6月が【安全準備期間】、7月第1週が【全国安全週間】と決まっているのですが、大抵がその時期に実施されます。

 

私たち業者の大前提は、事故を起こさない・怪我人を出さない

 

過去に起きた事例を取り上げながら、しっかりと振り返りや対策について共有し合える場は、非常に大切で貴重なのです。

国の定めている安全対策

各々の解体業者の意識づけももちろん重要ですが、国でも「安全・衛生」に重きを置いて、様々な対策に取り組んでいます。

 

その大元になっているのが、法律・施行令・規則

どのようなものなのか、簡単に解説いたします。

 

  • 労働安全衛生法

労働安全衛生法は、1972年に制定された法律です。

 

労働災害の防止、職場の労働者の安全と健康を確保して快適な職場環境を整えることを目的としており、事業者に対して最低基準を守らせるだけでなく、次のような取り決めをしています。

 

安全管理者の専任 健康診断の実施 安全衛生教育の実施
職場環境づくり 労働災害防止措置 安全委員会や衛生委員会の設置

 

何らかの事業で人を雇っている事業者は、企業やその他法人、個人事業主であっても、労働安全衛生法の対象となります。

 

  • 労働安全衛生法施行令

労働安全衛生法から委任された規定や、法律を施行するにあたって必要な規定などをまとめたものになります。

こちらは、内閣が定める「政令」です。

 

  • 労働安全衛生規則

いわゆる「省令」にあたり、厚生労働省が定めた規則です。

労働安全衛生法で定められた内容を、より具体的に細かく取り決めたものになります。

 

もちろん、法律があるから安全対策をするというわけではありませんが、国としてこうした法整備をしてくれていると、より安心できますよね。

 

どんな解体業者が安心?

最後に、皆さまが一番気になっていらっしゃるであろう、どんな解体業者なら安心できるかについて触れたいと思います。

 

施主さまの目で見てもわかるポイントは、次の2つ。

  1. 足場・仮囲いがしっかりとされている
  2. ヘルメットや安全帯などをしっかりと装着している

 

これらは現場を実際に見に行くと、一目で分かることです。

 

もしもこうした【基本中の基本】が徹底されていない場合は、そのほかの安全対策もしていない恐れがあります。

 

事故などのトラブルが起きてからでは遅いので、少しでも不安な要素を見つけたら、業者に確認をしてみるのも一つの手かもしれません。

おわりに

今回は解体現場の危険性を、実際に起きた労働災害の例をあげながら見ていきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

安全対策というのは、決してしてもしすぎることはありません。

むしろ「これでもか」というくらい、しっかりと行動すべき事柄ともいえます。

 

特に解体工事など、大きな重機を使う大掛かりな工事は常に危険が隣り合わせなので、最後まで安全に作業を進めるためにも、念入りな危険予知活動を行う必要があります。

 

各業者が安全意識を強く持ち、解体工事現場での事故が少しでも減っていくことを願って止みません。

 

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石井
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