皆さんは、 瑕疵 という言葉をご存知でしょうか?
普段から読み書きするような字でもないですし、あまり馴染みがない言葉だなという方も多いかと思います。
「瑕疵」とは主に不動産の売買の際に頻出する単語ですが、実は解体工事においても無縁ではありません。
もしかしたらこの記事を読んでくださっている皆さんにも関係することがあるかもしれませんので、今回はこの「瑕疵」をキーワードに解説していきたいと思います。
1. 瑕疵ってなに?
まずは、イメージを持ってもらうために瑕疵(かし)という単語のご説明から入りたいと思います。
瑕疵という言葉を辞書で引くと、「きず」や「欠点」、「過失」などという解説が出てきます。
不動産業界では、土地や建物等の不具合や欠陥・欠点なんかを瑕疵と説明していることが多いですね。

少し具体例をあげて考えてみましょう。
例えば、Aさんが不動産会社のB社と売買契約を交わして中古のお家を購入したとします。
無事に引渡しが済んだ後に、「あれ?契約のときには聞いていなかったのにこんなところに傷があるな…痛んでるな…欠損しているな…」という箇所が見つかりました。
この場合、その傷や痛みなどは欠陥がある状態、つまり契約内容の品質とはかけ離れてしまっている状態になりますので、立派な瑕疵の一つといえますね。
このように、解体業界においても工事が当初聞いていた契約内容とかけ離れていた、なんてことがあればそれは瑕疵にあたるということになります。
2. 瑕疵担保責任とは
瑕疵がある状態なのに、それに対しての責任はとれないと相手方に言われたら皆さんはきっと困ってしまうと思います。
そこで皆さんを守るための措置として出てくるのが「瑕疵担保責任」です。

この瑕疵担保責任は簡単に言うと、契約に沿わなかったことへの責任を負うことを意味します。
私たち解体業者は、何か施工に関するトラブルがあった場合に、この瑕疵担保責任を問われることになります。
たとえば解体業界では、撤去・処分されるはずのコンクリートガラが地中に残ったままになっていた、そもそも工事が契約した通りの仕上がりでなかったときなどに「契約と違うじゃないか!」ということで、瑕疵としてみなされたりします。
特に地中から埋設物が見つかった場合は、そこに新たに建物を建築する計画などがあったら工事に支障をきたすこともありますので、しっかりと撤去されていないといけません。
万が一瑕疵を確認したらこれは業者側の債務不履行となりますので、皆さんが泣き寝入りする必要はありません。
高いお金を払って工事をお願いしているのですから、契約の内容通りの工事をしてもらうのは当たり前です。
解体業者は瑕疵があった場合に責任を負わなければなりませんので、ただちに手直しなどの措置をとってもらいましょう。
一点注意が必要なのは、解体工事では瑕疵の保証に関しては定められていないという点です。
瑕疵の保証とは、引渡し後でも定めた期間の内であれば手直しをしてくれるという制度のこと。
解体工事は一定の期間が経ってしまった後に何か不利益なことが見つかったとしても、それが本当に解体工事による瑕疵であるかを立証することは困難なため、保証がつくことはごく稀であるということを覚えておきましょう。
3. トラブルにならないために確認すべきこと
解体工事において瑕疵を生じさせないために大切なのは、工事前後にご自身でしっかりと確認していただくことに尽きます。
工事前に確認しておくべきこと
解体をすると決まれば、まずはじめに解体業者さんと打合せをすることになります。
弊社では事前調査(お見積りをするにあたって建物の大きさ等を測ったりします)の際に可能な限りお客様にもお立会いいただき、そこで撤去範囲などを直接確認・お打ち合わせいたします。
どこを撤去して何を残すのか、ただそれだけのことと思われるかもしれませんが、これをメールや電話でのやり取りだけで済ませてしまうのは、認識の齟齬を生みかねないため大変危険なんです。
しっかりと打ち合わせの際にお互いの認識をすり合わせておくことは、のちの瑕疵の発生を未然に防ぐことができるので、工事を始めるうえで絶対的に必要なことといっても過言ではありません。
打合せの内容をふまえて解体業者は見積りを出してくると思いますが、皆さんに意識していただきたいのが、この段階でしっかりとその明細を確認するということです。
解体工事の見積書というと、専門的すぎて細かいことはよくわからない…と思われるかもしれませんが、ここで間違いがあるとその後の工事の仕上がりにかなり影響をおよぼしてしまいますので、打ち合わせ通りの内容になっているかを欠かさずに確認してください。
分かりにくい項目については、担当者に直接聞いてみてもいいかもしれませんね。
弊社では、撤去範囲を明確に示したオリジナルの解体工事施工計画図を作成してお渡ししておりますので、見積りの内容が多少難しく感じられた時でも施工計画図を照らし合わせていただければ問題ないと思います。
また、見積りだけでなく、契約書の内容もサインをする前に約款などをよく確認しておきましょう。
どちらも「こんな取り決めはしてない!」というのを防ぐために非常に大切なことです。
中でも、解体工事で多い瑕疵のひとつである「地中埋設物」の取り扱いについては書面上に記載がないケースが時々あります。
ですが、しっかりとした業者であれば見積書や契約書にその旨を記載してくれていたり、口頭等でも説明があるかもしれません。
一方でそのあたりをうやむやにしているだけでなく、書面にも記載していない業者が散見されるのも事実です。
先述した通り、地中埋設物が残ってしまっている状態ではその後のトラブルになりかねませんので、そのようなことがないように気を付けて見ておきたいポイントになります。
ちなみに、建物の基礎を掘り起こすまで地中に取り残された廃材があるのかどうかをお調べすることはできませんので、万が一何かが出てきてしまった場合は「追加工事」としてお客様のご了承のもとで撤去・ご請求させていただくというのが一般的です。
地中埋設物を見つけても見ぬふりをしてそのまま埋め戻してしまう、お客様の了承もなしに撤去して無断で追加請求してくるなんてトラブルも残念なことにいまだにゼロではありませんので、業者の対応はあらかじめ注意深く確認しておきましょう。
工事後に確認しておくべきこと
工事の後にも、しっかりと確認していただきたいことがあります。
それは、工事が契約内容通りに終わっているのかどうかを可能であれば現地に出向いて見ておくということです。
取り残しや、目に見えておかしな点がないかをご自身の目で確認することで、後々のトラブルを防ぎやすくなります。
ですが、地中の埋まってしまっている物に関しては整地されている状態で見つけ出すことは難しいので、心配な方はそのあたりが大丈夫かどうか改めて担当の方に聞いてみてもいいかもしれませんね。
何よりも工事後の確認の際にもっとも大事になるのは、「瑕疵を残したままにしないこと」ですので、気になる部分はよく見ておくようにしましょう。
遠方などにお住まいで現地に見に行けないという方も、そのまま野放しにするのではなく、業者に写真をもらったり説明をしてもらったりして確認するなどの策をとることをおすすめします。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
工事の世界では、契約内容と施工内容にズレがあってトラブルになってしまった…というようなケースは、残念なことに珍しいことではありません。
ですが、ちょっとの心がけで、こうしたトラブルは未然に防ぐことができます。
皆さんが解体工事をめぐって嫌な気持ちにならないためにも、「瑕疵」を発生させないよう、確認すべきところはご自身の目でしっかりと確かめるなどの対策をとるようにしましょう。
とてもありがたいことに、現在でも6社のハウスメーカーさんとお取引があり多くの現場をまかせていただいております。
ハウスメーカーさんの厳しい施工基準に対応するという経験値も積んでいるので、サービスの質や技術には自信があります!
解体工事をお考えなら、ぜひ安心してお問い合わせください。