皆さんが解体工事を検討する際に、気になることはどんなことでしょうか?
はじめての解体工事であれば懸念点は色々とおありと思いますが、私たちが日々さまざまなご相談をいただく中で、一番多い印象を受けるのが「費用」についてです。
解体工事はご存知のとおり、重機などを使って進めていく規模の大きい工事ですので、ご自身でお金をかけずに出来る小さな工事とは訳が違います。
ですが、お金がかかる工事だということは何となく分かっているものの、 建築工事などと異なり、壊して無くすための工事なので、なんとか安く済ませられないかとお考えの方も多いことでしょう。
石井商事ではそのようなお客様に向けて、これまでも何度か解体工事におけるコストカット術に関して発信をしてまいりました。
実は解体工事のコストカットという点においては、エリアや要件などの縛りはありますが、ご自身で気軽にできるやり方のほかに、自治体の手を借りて費用の補助を受けるというやり方があるということをご存知でしょうか。
そこで今回は、解体工事の補助金制度についてメリット・デメリットや支給までの流れなどを解説していきたいと思います。
最後には、弊社で特にご依頼の多い神奈川県内(一部地域)の解体工事の補助金制度の有無についてもまとめてみましたので、上記エリア内で費用の負担を減らして解体工事を進めたい方は要チェックです。
1. 解体工事の補助金制度とは
補助金とは、自治体から支給されるお金のこと。
今この記事を読んでくださっている方の中には、金額の大小問わず、すでに活用したことがあるよという方もいらっしゃるかもしれませんね。
先述したように、解体工事においても工事費用の負担を軽減する選択肢の一つとして使えることがあります。
補助金制度と助成金制度の違い
自治体からの支援と聞くと、補助金制度の他にもうひとつよく耳にするのが助成金制度かと思いますが、その趣旨を混同して記憶している方も案外いらっしゃるのではないでしょうか。
少々ややこしく感じられる部分でもありますので、「そもそも補助金と助成金って何がどう違うの?」という方に向けて、まずはその違いを簡単にご説明したいと思います。
【補助金とは】
特定の条件を満たした場合に支給されるお金のこと。
解体工事でいうと、建物の老朽化や耐震性が不足していることが認められる場合、長年空き家のまま手つかずとなっている場合等のひとつの対応策として支給されることがあります。
のちほど詳しく触れていきますが、横浜市の【住宅除却補助金】などが該当します。
【助成金とは】
公共性の高い活動や施策に対して支給されるお金のこと。
この助成金は、地域活用や安全対策などに対して支給されるケースが多く、藤沢市の【空家利活用事業助成金】などがそれに該当します。
つまり、一般的な家屋の解体工事で受ける資金の援助を受けたいという場合は、助成金ではなく【補助金制度】を活用いただく形になります。
補助金を活用するメリット
では、解体工事で補助金等の制度を活用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
工事費用の負担を減らせる
まず第一に、解体にかかる工事費用の負担を大きく減らすことができるという点が挙げられます。
皆さんもこの部分を一番のメリットだと思われる方が多いことと思います。
大がかりな工事になるため、ある程度の費用がかかることはやむを得ないわけですが、補助金がもらえれば負担の一部を軽減することができるため、予算にも多少の余裕を持たせることができるでしょう。
空き家対策や防災対策にも
補助金制度が利用できると費用面のハードルが下がるため、お金の部分を懸念して手を付けられずにいた放置状態の空き家の増加を抑止できるのではないかという自治体側の狙いもあります。
また、老朽化した建物を撤去することで、倒壊のリスクや不法侵入や放火などの【もしも】の不安を減らすことにもつながります。
人によっては億劫に感じて後回しにしがちな解体工事でも、少しでもハードルが下がることで着手しやすくなり、そのことが地域対策にも繋がりますので、まさしく一石二鳥ですよね。
補助金の注意点・デメリット
一見するといいことが多いように感じられる補助金制度にも、多少のデメリットや注意点もあります。
工事前に申請・承認を受けなければならない
これはどんな制度を利用する場合にも避けては通れないことですが、工事における補助金制度も例外なく、受け取るためにはまずは申請が必要になります。
支給の条件として【工事の前】までに申請をし、承認まで受けている状態でないといけない場合が大半ですので、工事が着工した後に「よし!無事に工事も始まったことだし、申請しよう!」と動いたところで申請は受け付けてもらえませんので注意が必要です。
また、自治体によって多少の違いはあるものの、申請には業者からの見積書などが必要になるほか、本人確認書類など書類をいくつか準備しなければならないため、やり慣れていないやり取りや下準備を煩雑に感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
また、申請がスムーズにいった場合でも、無事に承認が下りるまでに時間を要することもありますので、ご自身が解体を始めてほしい時期から逆算して動くなどして、時間にじゅうぶんな余裕をもった状態で手を付ける必要があります。
対象が限られている
補助金制度は、自治体によってその概要が異なります。
なかには補助金の対象となる建物や地域、世帯の条件が厳しい地域もありますので、注意が必要です。
たとえば、横浜市の制度【建築物不燃化推進事業補助】では、【重点対策地域】にあり【老朽建築物】と認められた建物だけがその対象となります。
当然、その条件に該当しない場合は、対象外であると判断されてしまいます。
補助金制度は、誰でもどこでもどんな建物でも申請できる制度ではないのだということを頭に入れておきましょう。
支給までに時間がかかる場合がある
また、申請後、交付の決定がおりるまでに数週間〜1か月程度かかるというのもデメリットとして挙げられます。
申請をすればすぐにお金がもらえるわけではないという点をしっかりと認識しておく必要がありそうです。
2. 手続きの流れを把握しておこう
補助金制度を活用するためにもっとも大事なのは、【申請からお金の受け取りまでの一連の流れを知っておく】ことです。
申請のタイミングを誤ってしまうと、本来であれば受け取れたはずのお金を受け取ることができなくなってしまうからです。
そこでここからは、申請から支給までどのような流れで進んでいくのかを簡単に解説していきます。
①補助金制度の有無の確認
まずは取り壊したい建物がある地域の自治体で解体工事に係る補助金制度があるのかを調べてみましょう。
方法としては、ホームページへアクセスし、【空き家(建物) 解体 補助金】などで検索してネット上で調べるのと、役所等に出向いて窓口で直接確認する方法の2パターンがあります。
②制度の対象かどうかの確認
補助金制度の有無を確認できたら、つづいてご自身が支給対象にあたるかどうか確認しましょう。
この制度は全国共通のものではなく、市区町村によってその内容が異なるため、各々の自治体の対象条件をよく調べる必要があります。
ホームページなどを見てもいまいちピンとこないという方は、窓口や電話などで直接問い合わせてみると丁寧に教えてくれますので、活用してみるのもおすすめです。
③申請のタイミングを確認
先述したように、補助金の申請はタイミングがとても重要です。
ここでは横浜市の建築物不燃化推進事業を例にとって、手続きの流れを見ていきたいと思います。
1. 「工事計画承認申請書」を提出
2. 「工事計画承認通知書」を受け取る
3. 契約
4. 工事の実施
5. 工事代金の支払い
6. 「工事完了報告書」、「補助金申請書」の提出
7. 「補助金交付決定兼補助金額確定通知書」を受け取る
8. 「補助金交付請求書」の提出
9. 補助金の受け取り
この場合の注意点として、市の承認よりも前に①解体工事の契約をしてしまった場合 ②工事に関する一部支払いを済ませてしまっている場合は、補助の対象から外れてしまうということが挙げられます。
また、遅くとも契約の30日前までには「工事計画承認申請書」を提出できるように、準備を済ませていなければならないなどのルールが設けられていたりします。
このように、あらかじめ手続きの流れを把握していないと、申請を通すことができなくなり、解体工事にかけられる予算に大きな影響を与える可能性があります。
④入金までの期間の確認
補助金の振り込みのタイミングを把握していないと、工事代金の支払いの際に慌てることがあるかもしれません。
場合によっては資金不足になったりして、業者との間でトラブルになる恐れも。
請求書が受付されてからおよそ一か月前後で振込になるケースが多いとされているものの、書類に不備があったり何かしらの事情で認可がおりるまでに時間がかかった場合などは遅延する可能性も考えられますので、注意が必要です。
3. 神奈川県内(一部エリア)の補助金制度
最後に、弊社で特に解体をさせていただくことが多い県内のエリア(横浜市、川崎市、藤沢市、鎌倉市、茅ヶ崎市、大和市)の解体補助金制度の有無とその概要を簡単にまとめてみましたので、よろしければ参考程度にご覧ください。
(こちらは執筆時点での情報です。最新の情報はかならず各自治体の公式サイトをご確認ください)
横浜市
【住宅除去補助制度(解体助成)】
横浜市では、耐震性が不足している木造住宅などを対象に解体費用の補助制度が設けられています。
※今年度は12月26日までが受付期間となっています。
| 昭和56年5月以前に建築された建物 | 昭和56年6月以降、平成12年5月末日以前に建築された建物 | |
| 補助上限額 | 50万円 | 課税世帯:20万円
非課税世帯:40万円 ※床面積、見積金額による補助額設定有り |
そのほか、建築物不燃化推進事業の一環で、重点対策地域内の老朽建築物(昭和56年5月末以前に建築された建物)には最大150万円の解体費用を補助してくれる制度もあります。
| 対象地域 | 重点対策地域(神奈川区、西区、中区、南区、磯子区の一部地域)および対象地域の一部(鶴見区、神奈川区
、南区、磯子区、金沢区の一部地域) |
| 補助上限額 | 150万円 ※床面積、見積金額による補助額設定有り |
参照:横浜市公式ホームページ「空き家を手放したい方へ(解体・売却に利用できる補助制度の紹介など)」
注意点として、耐震性のチェックを受ける必要があること、解体工事の前に申請・交付決定されていなければならないこと等があります。
そのほか詳しい要件などは横浜市の公式サイトをご確認ください。
川崎市
住宅等不燃化推進事業(老朽建物建築物除去工事)の補助金は今年度末で終了となりました。
藤沢市
現在、建物解体の際の補助金制度はありません。
鎌倉市
現在、建物解体の際の補助金制度はありません。
茅ヶ崎市
【木造住宅除去事業補助金】
市内の一定条件を満たす木造住宅に対して解体費用を補助する制度が設けられています。
| 補助対象条件 | ・市内に存するもの
・自己の所有するもの ・建築物であるもの ・一戸建て住宅又は兼用住宅(延床面積の1/2以上を住宅の用に供するものに限る)であるもの ・昭和56年5月31日以前に建築され、又は建築の工事に着手されたもの ・在来軸組工法または枠組壁構法で建築されたものであること ・地階を除く階数が2以下であるもの ・市から補助金の交付を受けて実施した耐震診断による上部構造評点が1.0未満であるもの ・市から補助金の交付を受けて耐震補強をし、又は耐震シェルター等の接しをしていないもの |
| 補助金額 | (1)~(3)のうちもっとも低い額
(1)木造住宅の延べ面積(平方メートル)×20,000円の1/2 (2)木造住宅の全ての除去工事見積額の1/2 (3)上限36万円 |
参照:茅ヶ崎市公式ホームページ「木造住宅除去事業補助金のご案内」
詳しい要件などは茅ヶ崎市の公式サイトをご確認ください。
大和市
現在、建物解体の際の補助金制度はありません。
おわりに
神奈川県では、一部地域にて解体工事にかかる費用を補助してくれる制度が設けられています。
補助金は皆さんの解体費用の負担を大きく軽減してくれるため、お財布にとてもありがたい制度ですよね。
産業廃棄物の処分費や人件費の高騰の影響などを受けて、解体工事も年々値上がり傾向にある中で、少しでも安く抑えたい!とお考えの方にとって補助金制度はその一助になると思いますので、活用されてみるのもいいかもしれませんね。













とてもありがたいことに、現在でも6社のハウスメーカーさんとお取引があり多くの現場をまかせていただいております。
ハウスメーカーさんの厳しい施工基準に対応するという経験値も積んでいるので、サービスの質や技術には自信があります!
解体工事をお考えなら、ぜひ安心してお問い合わせください。