皆さんが工事現場の前を通りがかる際に、きっと一度は目にしたことがあるであろう養生シート。
何気なく見ている養生シートですが、実は解体工事において非常に重要な役割を担っていて、欠かせないアイテムの一つなんです。
シートの使い方などを見れば、その業者の意識が見て取れるなんてこともあります。
そこで今回は、養生シートの種類や効果、シートの使い方で分かることについてお話していきたいと思います。
1. 養生シートってどんなもの?
養生シートとは一言でいうと、様々な工事などの現場で使われているシート状の製品のこと。
工事の種類や作業内容によって用途は様々ですが、たとえば建築の現場では建材をカバーしたりすることもあれば目隠しのように使われたりと、比較的どんな工事現場でも汎用性が高い製品のひとつになっています。
大きさは1.8m×3.6mもしくは1.8m×5.4mが主流で、ホームセンターなどで簡単に手に入れることができ、私どもが行っている解体工事においては、主に騒音や振動、粉塵の飛散を防ぐために使われます。
養生シートの種類
あまり詳しくない方からすると一見どれも同じように見えなくもない養生シートですが、実は種類があるということをご存知でしょうか。
果たしてくれる機能によって大きく3つに種類分けされており、現場の状況に応じて使い分けられていますので簡単にご説明します。
①防音シート
一般的な解体工事で最もよく使われているのが、防音シート。
銀色や黒っぽいシートの表面に「防音」や「遮音」と書かれていますので、皆さんからみても分かりやすいかと思います。
防音という名前だけあって、あるのと無いのとではその差が明らかなほど騒音の軽減が期待できるという優れものです。
厚みは0.5mmから1mmが一般的ですが、厚みがあって密度が高いものになるにつれてその効果を十分に発揮してくれます。
なお、ビルなどのかなりの騒音を伴うことが想定されるような大きな構造物の解体を行なう場合は、シートではなくより密度の高いパネルタイプのものを使うこともあります。
②防炎(防火)シート
火に強い素材でできているのが、防炎(防火)シートです。
一般的な住宅の解体で使うことはあまりありませんが、ガスや電気での溶断を伴うような解体の際には必要不可欠になります。
防炎なので万が一火がついてしまうようなことがあった場合でも燃え広がりにくいので、火花が発生するような工事においても安心して使用することができます。
③メッシュシート
最後は、メッシュタイプの養生シートです。
基本的には先にご紹介した防音シートがよく使われるのですが、気候や立地条件によってメッシュ生地のものを使用することがあります。
メッシュを使うメリットは、なんといっても風を通すことができるという点です。
たとえば、強風が吹いている日などは、普通の防音シートを使ってしまうと密度が高くて隙間がない分、まともに風をうけて足場ごと倒れてしまうなんてことも考えられますが、メッシュ素材であれば隙間から風を通してくれるのでそのような危険を回避することができます。
そのため、風が強く吹く丘や山の上、海の近くの現場、台風の時期などは一般的な住宅地であっても急な気候の変化に備えてメッシュシートを張ることがあります。
2. 養生シートで防げる近隣トラブル
解体工事と聞くとトラブルが多いイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、養生シートはそんなトラブルを未然に防いでくれるという意味でも重宝されています。
粉塵の飛散
建物を取り壊していると、どれだけ注意を払っていても建材の破片や積もりにつもった埃などが周囲に飛散してしまうことがあります。
飛び散った粉塵が原因で車や洗濯物が汚れた!なんて話も、耳にしたことがあるのではないでしょうか。
もちろん粉塵が飛散するような作業を行なう場合は、舞いそうな場所に適宜散水をして湿らせておくなどの対策をとりますが、それだけでは足りないことがほとんどです。
そこで活躍するのが養生シートで、あらかじめ解体の対象物をぐるっと囲んでおくことで粉塵の飛散をシート内で留めることができます。
対策をすれば最小限に抑えられるものですので、シートはしっかりと張っておくことが大切です。
騒音対策
重機を動かしての作業が多い解体工事では、どれほど細心の注意を向けて丁寧に施工をしていたとしても、破砕音や廃材の落下音などを完全に防ぐことはできません。
一般的な木造の家屋の解体工事程度であれば、国が定めた騒音規制法にもとづく規定の数値を超えてしまうことは滅多にありませんが、それでも遮音性に優れたシートでしっかりと養生をしてから施工をすることでかなりの音の軽減につながります。
音の感じ方は人それぞれ違いますので、こちらに関しても対策をすることは非常に重要なことと言えるでしょう。
3. 養生シートは義務?
養生の設置は義務ではなく、あくまで努力義務とされています。
「え?音も出るし粉塵も舞うし、それだけ迷惑がかかるのだから設置しないなんて違法でしょ!」と思われるかもしれませんが、
例えば
- 現場の周辺に家屋などの建物がなく、住民が近くにいない場合
- 散水等をして粉塵の飛散に対する対策をおこなっている場合
などの状況においては、特に養生をする必要がないと言われています。
とはいえ、国土交通省から状況に応じて対策を講じるよう求められているということや、周囲に迷惑をかける可能性を考慮すると、よほどその必要がないだろうと判断できる場合をのぞき、指針に従って適切な対応を取ることが安全性の確保やトラブルを防止するためにも重要となります。
音や粉塵をめぐっては、日常生活を送るうえで支障をきたす問題として大きなクレームに発展することも珍しくありません。
あくまで努力義務ですのでただちに違法行為とみなされるわけではないですが、現場の状況によってどのような対応をするかは業者によって異なる可能性があるという点に注意が必要です。
4. 養生シートで分かる解体業者の質
養生シートの使い方を見れば、その業者の安全に対する意識や仕事の丁寧さ、近隣への配慮がどの程度のものであるのかを判断することができるといっても過言ではありません。
例えば、シートがボロボロの状態のままで仕事をしているようであれば、備品管理に対する意識が低く見てとれますし、何よりも乱雑な印象を受けますよね。
周りからもよく見えるものですので、周囲からの見え方や評判をあまり気にしていないのではないかと感じる方もいらっしゃるかと思います。
何より、破れなど著しく状態が良くないものを使い続けていると、本来の養生シートの効果を果たさない可能性があります。
解体工事は騒音や振動、そのほか様々なことで近隣の皆さまにご迷惑をおかけすることも多い工事ですので、周囲への気遣いや対策が見られないとその後の工事にも不安を感じられることでしょう。
一方、古いものを使っていても日頃から綺麗に管理してることがはたから見て分かると、丁寧に作業ができる会社またはそのような意識を持ったスタッフがいる会社だと判断できます。
また、シートの張り方ひとつとってもその業者の良し悪しが見えてきます。
シートの上下が逆さになっていたり、シート間に隙間があるにも関わらずそのまま作業をしていたりすると細かなところまで気を付けられていないのではないかと思われても仕方ありませんよね。
一見すると小さなことかもしれませんが、実はこうした小さなことの積み重ねが信頼をしていただくうえで大切になってきます。
最近ではホームページやSNSなどに施工事例として写真を掲載している業者も多くいますので、そのあたりも注目して見てみると良いかもしれませんね。
おわりに
いかがでしょうか。
普段何気なしに工事現場で見かけている養生シートですが、工事を安全・円滑に進めていくうえで私たちに多くのメリットをもたらしてくれていることがお分かりいただけたかと思います。
また、施工業者がどんな業者であるかを判断するひとつにもなりますので、是非参考にしてみてくださいね。
とてもありがたいことに、現在でも6社のハウスメーカーさんとお取引があり多くの現場をまかせていただいております。
ハウスメーカーさんの厳しい施工基準に対応するという経験値も積んでいるので、サービスの質や技術には自信があります!
解体工事をお考えなら、ぜひ安心してお問い合わせください。