街中のあちこちで目にする解体工事。
解体工事は誰もが気軽に行えるような工事ではなく、施工をするには許可が必要となります。
※自宅を自分で解体して廃材を運ぶ場合には、許可は不要です。
解体初心者の方の場合、許可が必要なのは何となくわかっていても、詳しいところまでは知らないという方が大半かと思いますが、万が一知らないうちに無許可で施工をしている業者にあたってしまっては大変な話ですよね。
そこで今回は、解体工事にはどのような許可が必要なのかを解説したいと思います。
皆さんが知っているかどうかで、業者の見え方や選び方もガラッと変わってくるかと思いますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
1. 解体工事に必要な許可・登録は2種類
解体業では、次のうちのいずれかの許可・登録を持っている必要があります。
- 解体工事業の登録
- 建設業許可
それぞれの特徴や違いについて、ひとつずつ見ていきましょう。
解体工事業の登録
一つ目が、解体工事業の登録です。
建設リサイクル法では、【「土木工事業」、「建築工事業」又は「解体工事業」に係る建設業許可を持たずに、家屋等の建築物その他の工作物の解体工事を行う方は、営業しようとする区域を管轄する都道府県の登録を受けなければならない】ルールがあります。(神奈川県ホームページ参照)
登録は、元請や下請、一人親方の別にかかわらず受けなければならないもので、複数の都道府県で工事を行なう場合に関しては営業所の有無にかかわらず、施工区域を管轄する都道府県にそれぞれ登録をするよう定められています。
例えば、石井商事は神奈川県の横浜市に本店を構えており、他に拠点は設けておりませんが、施工範囲は【神奈川県】と【東京都(一部)】になります。
弊社のように東京・神奈川どちらも工事をする場合は、東京に社屋がなかったとしても、両方の登録が必要ということです。
ですが、解体工事業の登録は申請すればだれでも登録を受けられるのかと言われると、そうではありません。
取得には、以下の要件を満たしている必要があります。
1. 基準を満たした技術管理者を配置すること
・大学/高等専門学校で土木工学等に関する学科を修了した者で、解体工事の実務経験が2年以上
・中等学校/高等学校で土木工学等に関する学科を修了した者で、解体工事の実務経験が4年以上
・解体工事の実務経験のみで、8年以上経過している者(国交大臣の登録を受けた講習を受講している場合は、実務経験が7年以上)
・国が定めている基準の資格を保有している
2. 不適格要件(登録拒否の事由)に該当していないこと
法人の場合、役員のなかで一人でも以下の不適格要件に該当している場合、登録を受けることはできないという仕組みとなっています。
個人事業であれば、本人が不適格要件に当てはまらないことが条件です。
・過去に重大な法令違反歴がある場合
・破産手続き中や民事再生手続き中の場合
・暴力団関係者または関連団体への関与がある場合
・代表者や役員に法令違反歴があるなど、一定の条件を満たしていない場合
・申請書類に虚偽がある場合
・過去に登録の取り消しを受けてから一定期間経過していない場合
このように、だれもが取得できるわけではありませんが、この後にご説明する「建設業許可」と比べると比較的容易に登録を受けることができます。
その一方で、請負金額に制限が設けられているというデメリットも。
解体工事業の登録のみの場合、請け負える工事金額は税込で500万円未満までとされており、それを超える金額の工事は請けてはならないというルールがあるので注意が必要です。
建設業許可
もうひとつが、建設業許可です。
こちらは先述したとおり、解体工事業の登録と比較すると要件が厳しくなるので、その分取得のハードルが上がります。
建設業許可とは建設業法に基づいて定められているもので、1件の工事が税込みで500万円以上となる場合には取得が必要です。
必要要件は、次のとおりです。
1. 法人または個人事業主であること
これはいわゆる【基本条件】のひとつですね。
法人の場合は、申請の際に登記簿謄本等や会社の定款、決算書などが必要になります。
また、代表者や役員の情報もあわせて確認されるため、法人としての正当性があるかしっかりと見られます。
個人事業主の場合は、住民票や事業実績がわかるもの、納税証明書などの提出が求められます。
2. 財務基盤が安定していること
財政基盤は、資本金や経営状況、税金の納付状況から判断されます。
資本金は最低でも500万円以上である必要があり、経営状況は決算書をもとに過去の収益状況や負債額等から評価されます。
3. 専任の技術者の配置
工事の安全性や品質の確保を目的として、解体工事施工技士などの有資格者や実務経験が一定年数をこえている技術者を常に1名以上配置していなければならないという決まりになっています。
4. 過去の法令違反がないこと
廃棄物処理法や建設業法などに違反があると、日頃から法令遵守できていないのではないかと疑われてしまいますよね。
解体工事は環境保護や安全に関する法令を遵守して施工をすることが大原則ですので、過去の違反歴の有無は重要視される部分になります。
以上のことから、建設業許可を得るには手間がかかること、求められる要件も多いことから少々大変だということがお分かりいただけたかと思います。
いまご紹介した【解体工事業の登録】や【建設業許可】を受けていないということは法的なリスクが高まるだけでなく、信用・安全性の低下や契約内容の制限などにもつながりますので、解体工事を受注して商いをする以上、手続きをすることは大前提となります。
石井商事は、建設業許可を取得しております。
詳しくはホームページ内に明記しておりますので、よろしければこちらもあわせてご覧ください。
2. 心配な方は事前に確認を
最近は業者の数自体が急激に増加していることもあり、そのあたりをうやむやにしたまま始めているところもゼロではない可能性がありますので、心配な方は業者が持っている許可や登録の有無については本契約の前までに調べておくことをお勧めします。
実際、必要な届出や許可を受けずに工事をしていた業者がニュース等で取り上げられているのを目にすることもありますし、いつどのように皆さんの前に同じトラブルが降ってくるかは分かりませんので、他人事とは決して言えない問題でもあるのです。
とはいえ、こうした許認可に関する情報は、ホームページの会社概要等で公開しているところもあったりもしますが、ホームページを持っていても番号等を明記していないところも時々見受けられます。
ましてや下請けとしての施工がメインの業者ですと、そもそもホームページ等を持っていないなんてことも珍しくありません。
ホームページがないとなると「面倒だし、まぁ大丈夫だろう」という気持ちから、確認をおざなりにしてしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。
ですが、後から大きな問題が起きてしまってからでは大変ですので、面倒くさがらずにしっかり確認しておいてください。
直接聞くのは勇気がいるという場合は、各都道府県のホームページから許可や登録を受けている業者が一覧になっている名簿等を見ることもできますので、そうした手段を使うと安心できるかもしれません。
おわりに
今回は、解体工事をするうえで必要な許可や登録についてご紹介しました。
無許可・無登録で平然と工事に着手するような業者にあたってしまうと、工事で何かあった場合に責任の所在が不透明になるこをいいことにうまく交わされてしまったり、廃棄物を不法投棄をされる恐れや、それ以外にも様々なリスクが生じることが懸念されます。
また、お施主様だけでなく近隣にお住まいの皆様との間に何か大きなトラブルが起きてしまう可能性も十分に考えられますので、とても見過ごせるようなことではありませんよね。
そこまでする必要あるのか?と思われることかもしれませんが、皆さん自身が最後まで安心して工事を終えるためにも非常に大切なことなので、施工業者をお探しの際には必要な許可・登録をきちんと持っている業者なのかまで気にして見てみることをおすすめします。
とてもありがたいことに、現在でも6社のハウスメーカーさんとお取引があり多くの現場をまかせていただいております。
ハウスメーカーさんの厳しい施工基準に対応するという経験値も積んでいるので、サービスの質や技術には自信があります!
解体工事をお考えなら、ぜひ安心してお問い合わせください。