解体工事初心者ガイド

解体工事とは?

地面の上に立っている建物を壊して片付けるだけが解体工事ではありません。
実際には「整地」といって、その土地が次の用途に適するように平らにならすところまでが解体業者のお仕事です。

ですから、半分地面に埋まっている「基礎」も取り除きますし、お庭にある門・塀・池などを取り壊すこともあります

建築物解体

解体工事と言えば、大きな重機で「ぐしゃ」っとやってしまうイメージありませんか?

実際には、建築物解体は工事で発生した廃材をしっかりリサイクルに回すため、少しずつ取り壊していくことがほとんどです。
その過程でも、作業途中の建物がバランスを崩して倒れてきたりしないように、安全に注意を払いながら慎重に作業します。

ですから、意外と工程も多く、建物が順序よく分解されていくように工事が進みます。

瓦取り外し

瓦取り外し

まずは屋根を手作業ではがしていきます。転落防止の親縄に安全帯をかけ、瓦を1枚ずつ剥がしていきます。リサイクルするにあたって他の資材と混ざらないようにするため、手間と労力はかかりますが、機械は使いません。

内装石膏ボード剥がし

内装石膏ボード剥がし

次に、解体バールを使って内装の石膏ボートを剥がします。こちらも同様に、他の資材と混ざらないように手作業で行います。

内装撤去完了状況

内装撤去完了状況

ここまで解体して、ようやく重機を使って作業ができるようになります。ここからは一気に作業スピードがあがります。

外構解体

外構解体は、一般住宅でいうとお庭にあたる部分の解体工事のことです。
主に住宅の建て替えなどにあたり、車庫の位置を変更したり玄関の位置を変えたいときに行います。
門柱や門扉、車庫などのしっかりした構造物を解体します。

もちろん、解体が終わったあとは外構部分も整地するので、ただ地上の建物を取り除くだけの工事ではなく、飛び石を掘り起こして処分する、などの作業も含まれています

外構解体 ブロック切断作業

外構解体 ブロック切断作業

コンクリートカッターを使い、ブロック塀を切断しているところです。
この作業をしないと、残すブロックも一緒に壊れてしまいます。

庭石解体

庭石解体

大きな庭石を重機に付けた油圧ブレーカーで割っています。30センチ程度まで小割します。

カーポート撤去

カーポート撤去

アルミ製のカーポートを手作業で切断撤去し、車両・重機の搬入路を確保します。

解体付帯作業

たとえば、カーポートを撤去したり、樹木伐採、木の根っこを取り除いたり、池を埋めたり・・・などなど、解体工事にともなって発生する作業のことです。
主にお庭周りの作業が多いですが、たとえば建物内の不用品の処分を委任する場合なども、お見積もりには“解体付帯作業”として項目をわけて記載される場合もあります
(どこまでが付帯作業に入るかは、業者によってまちまちです。)

樹木抜根作業

樹木抜根作業

大きな桜の木を抜根しています。大きくなりすぎてお隣に迷惑を掛けていたようで可愛そうですが撤去することになりました。

池撤去

池撤去

自然石で囲った立派な池ですが、新しい住宅に掛かってしまうようで撤去となりました。

万年塀撤去

万年塀撤去

万年塀を撤去しています。高さがあり、大きな地震に備え、ブロックとフェンスに作り変えます。

事前準備・申請・手続き一覧

取り壊すことが決まったら、まずは必要な準備・申請・手続きを確認しておきましょう。

自分の所有物を壊して片付けるだけだから、私の自由でしょ」と思ってしまいそうですが、解体工事をするにあたっては合わせて3つの申請・手続きが義務付けられており、忘れると罰金が課せられるものもあります。

また、「捨てるつもりのないものが廃棄物に混じってしまった」というようなトラブルにならないためにも、事前の準備は大切です。
これらのは解体工事を依頼したお客様自身が行うもの、解体業者が行うものに分けられます。

最近ではほとんどないと思いますが、中には申請等を行わない業者もいるようなので、きちんとした会社かどうかを見極めるためにもお客様自身がご存知でいることをおすすめします。

準備・申請・手続き 期限 内容 担当 業者への委任
①建築リサイクル法の申請 解体工事を行う7日前まで。申請から受理まで1週間程度の時間がかかります。 解体する建物がある都道府県の知事へ工事内容などを記載した書類を提出 お客様自身
②道路使用許可申請 作業車・重機の使用前まで。申請から受理まで1週間程度の時間がかかります。 所轄の警察署長に書類を提出 解体業者
③ライフラインの停止 解体工事前日まで。各会社によって停止までに1日〜1週間ほど要する場合もあります。 電気:電力会社に連絡
ガス:担当のガス会社に連絡
上下水道:業者に相談したあと各自治体の水道局に連絡
お客様自身
(時間がかかる場合があります)
④引っ越し・室内の片付け 解体工事前日まで 生活用品:衣類・寝具家具を建物外へ移動
リサイクル家電:エアコン・テレビ・冷蔵庫/冷凍庫・洗濯機を建物外へ移動
お客様自身
(費用がかかります)
⑤建物滅失登記に必要な書類を用意 建物滅失登記の手続きを行う前まで 建物滅失証明書、解体業者の印鑑証明などの書類を作成 解体業者
⑥建物滅失登記 解体後1ヶ月以内に 建物滅失証明書と解体業者の印鑑証明など法務局に提出 お客様自身 土地家屋調査士
司法書士

①解体工事は「建設リサイクル法」に基づいて行われます。建設リサイクル法とは、建築物に使用されている建設材料(資源)をリサイクルするために作られた法律です。
特定建設資材を用いた建物で床面積の合計が80㎡以上の建築物が対象とされています(横浜市は80㎡以下も対象になります)。

建築リサイクル法についてのご注意

  • 建築リサイクル法の事前申請は、解体工事を依頼したお客様に届出の義務があります。届出を忘れると最終的に罰金を課せられる場合があるので気をつけましょう。
  • この法律では、解体工事で排出された廃棄物を種類と処分方法ごとに分別し、適切に処理することが定めれれています。

実際のところ、これらの分別は解体業者が一任して行うので、法令通りにできるかどうかは業者のコンプライアンス意識に委ねられます。こうした企業の姿勢も業者選定における大切なポイントになります。

②工事では重機や資材運搬用の車両を使用しますが、敷地内に停められない場合などに一時的に周辺の道路を使用することがあります。本来、道路は人や車が通行する目的で作られていますので、それ以外の目的で使用するときは事前に「道路使用許可」を申請するよう、道路交通法に定められています。

道路使用許可申請についてのご注意

  • 通常は、解体する現場の状況に合わせて解体業者が有償で申請を行います。
  • 道路使用許可を出さずに違反すると、解体工事をいったん中止せざるをえなくなるケースもあるので、しっかり手配がされていることを業者に確認しましょう。

ちなみに道路使用許可の申請は書類を提出してから受理されるまで一週間前後時間がかかります。申請の認可がおりてからでないと解体工事を行えないので早めに確認しておきましょう。

③電気・ガス・電話・水道などライフラインは地中の配管や配線で解体する建物とつながっています。安全な工事を行うために、事前に停止・撤去の手続きを行います。あわせて、セキュリティーサービスやCATV等に入っている場合も手続きが必要です。それぞれの管理会社に連絡をして、建物を解体するということと、工事予定日を伝えます。

ライフライン停止のご注意

  • 一般的には工事を依頼されるお客様が手配されます。解体業者におまかせいただくこともできますが、契約者ではなく委任という形で手続きを進めるので、何かと時間がかかってしまいます。その間にも基本料金などが発生してしまうことを考えると、ご自身で行うことをおすすめします。
  • 水道に関しては、工事中に埃が舞うのを防ぐために解体業者が使用させていただくことが多いです。ですから、停止をする前に一度、解体業者に確認を取るほうがいいでしょう。

④お引越しをする予定であれば荷造りを、不用品であれば処分を行います。生活用品の処分は解体業者にまかせることもできますが高額になる場合もありますので、家庭ごみとして少しずつ処分すると費用の節約になります。
また、粗大ゴミの処分は各自治体に連絡をすれば回収に来てくれます。エアコン・テレビ・冷蔵庫/冷凍庫・洗濯機の4品目はリサイクル家電であるため、粗大ごみには入りません。購入した電気屋さんに問い合わせるか、家電リサイクル受付センターに電話をして回収を依頼しましょう。

不要品処分のご注意

  • 解体工事を行う建物が遠方にあるなど、ご自身で不用品を処分するのが難しい場合は、解体業者に回収を依頼することも可能です。無理をせず、一度解体業者に相談してみることをおすすめします。親切な業者なら、他の処分方法についても提案をしてくれるはずです。
  • 不要品の回収には、『一般廃棄物収集運搬業務許可』と『古物商許可』の両方が必要です。後々トラブルになったりしないためにも、これらの許可を持った業者さんにお願いするようにしましょう。
  • エアコンの取り外しは一般の方には難しい場合が多いので、電気屋さんか空調設備を取り扱っている業者に依頼します。

⑤⑥解体工事が終わったら「建物滅失登記」という手続きを行うよう不動産登記法で定められています。
建物がなくなった、ということを工事終了から1ヶ月以内に法務局に届け出ます。

建物滅失登記の注意点

  • 解体業者が発行する「建物滅失証明書」と「解体業者の印鑑証明」が必要です(自治体によっては、「解体業者の資格証明または会社謄本」が必要な場合もあります)。期限が決まっている手続きなので、事前に一声かけて速やかに書類を用意してもらうようにしましょう。
  • 建物滅失登記を行わなかった場合、いざ土地を売ろうと思ったとき売却出来ないだけでなく、固定資産税が課税されたり、10万円の過料に処される場合があります。
  • 建物滅失登記は、土地家屋調査士や司法書士が委任を受けて行ないますが、ご自身で行うことも出来ます。

お気軽にご相談ください

石井
私たち石井商事では、年間250件を超える解体工事を行っております。
とてもありがたいことに、現在では6社のハウスメーカーさんとお取引があり多くの現場をまかせていただいております。
厳しい施工基準に対応するという経験値も積んでいるので、サービスの質や技術には自信があります!

解体工事をお考えなら、ぜひ安心してお問い合わせください。