マニフェストとは?

マニフェストとは?

選挙が近くなってくるとよく耳にする“マニフェスト”という言葉。
そもそも、マニフェストとは何だろうとWikipediaで調べてみると「人または団体がその方針や意図を広く多数の者に向かって知らせるための文書や演説」「選挙公約」という解説があります。
一般的にはこちらの意味で使われていることが多いですね。

一方、解体工事において私たち業者が使用しているマニフェストはこうした声明のようなものではなく、もっと業務に即した“管理票”です。
具体的には、工事で発生する産業廃棄物の排出事業者が、運搬や処理を他の業者に委託する際に最終処理までの過程を記録する、といった使い方をされています。

この管理票があることで、様々な中間業者を経て廃棄物が最終処分業者へと流れていく過程を施主(お客様)が把握することができ、各処理段階によって担当の業者から押印されるため、委託したとおり適切に処理されたことを確認することができるのです。

それにしても、なぜ施主(お客様)が上記のことを確認する必要があるのでしょう?

その一番の理由は、不誠実な業者による被害を減らすためです。
最近では(マニフェストのおかげもあって)ずいぶん少なくなりましたが、以前はお客様に「廃棄物は適切に処分した」と説明しておきながら、実際には違法に処分していたという事例が時々発生していました。

たとえば廃棄物を現場の地中に埋めたり、人気のない場所に不法投棄したり、野焼きにしてしまったり・・・。

中間処理業者に委託する費用を浮かせたいがために、平気でこれらの違法行為をする業者がいたのです。

「悪いのはその業者だから、私たちには関係ないでしょ」と思われるかもしれませんが、不法投棄などはとくに、発見されたときに一番最初に身元が特定されやすいのが持ち主さんです。
たとえば古いハガキの宛名や名前が書いてある書類など、廃棄物の中にないとは言えませんよね。

これらが見つかれば、投棄した人物よりも先にまず施主であるあなたに連絡が入ることになります。こうしてあなたにも「違法行為をしたのではないか?」という疑惑がかかってしまうのです。
これらのトラブルを回避するための強い味方がマニフェストです。

マニフェストの仕組みとチェックポイントをおさえて、安心・安全の解体工事にお役立てください。

マニフェストの仕組み

解体工事で使用するマニフェストは7枚の複写式になっています。上から

  • A票(排出事業者の控え)
  • B1票(運搬業者の控え)
  • B2票(運搬業者から排出事業者に返送され、運搬終了を報告・確認)
  • C1票(処分業者の保存用)
  • C2票(処分業者から運搬業者に返送され、処分終了を報告・確認)
  • D票(処分業者から排出事業者に返送され、処分終了を確認 )
  • E票(処分業者から排出事業者に返送され、最終処分終了を確認 )

となっています。

これらの管理票は、処理段階を追うごとにそれぞれの業者の手に渡り、5年間保管しておかなければなりません
未使用のマニフェストは排出事業者=解体業者が持っています。

解体業者は工事後に必要事項を記入したあとA票を控えとして手元に残し、残りのB1、B2、C1、C2、D、E票を運搬業者に渡します。
続いて運搬業者はB1票を手元に残し、B2票は解体業者へ返送し、残りの4枚を次の廃棄物処理業者に渡します。

その後、廃棄物処理業者は中間処理が終わったところでで運搬業者にC2票を返送します。
ここからはこの処理業者がどこまで処理を行うかでマニフェストの流れが違います。

①この処理業者がそのまま最終処分まで行う場合
解体業者にD票と合わせてE票も返送し、手元にはC1票を保管します。
②この処理業者がさらに別業者に最終処理を依頼する場合
新たなマニフェスト(2次マニフェスト)を発行し、上記のような流れで最終処理業者からの2次マニフェストE票の返送を待ちます。
最終処理業者は処理が終わったら2次マニフェストE票を処理業者へ返送し、それを確認した処理業者が解体業者へE票を返送します。

こうしてすべての廃棄物処理が終了すると、解体業者のところにはA票、B2票、D票、E票の4枚があることになります。

マニフェスト

マニフェストのチェックポイント

上記のような流れを辿って、すべての廃棄物が適正に処分されると、処分業者よりE票が解体業者に返送されてきます。必要であればお客様にお渡しすることもできます
このE票には、廃棄物処理に関わったすべての業者がサイン、受領・処分の受取印などが押印され、最終処分業者が処分を終了した日にちも記入されています。

これらをチェックし、万が一漏れがあれば不正に処分された可能性も考えられるので、すみやかに各業者に確認しましょう。
写真はA票の見本です。

manifest

  • ①マニフェストを交付する日付(廃棄物を引き渡しする日付)
  • ②マニフェストを交付する担当者の氏名を記入、押印
  • ③排出事業者(解体業者)の会社名・住所・電話番号
  • ④委託する産業廃棄物の細かい内容
  • ⑤二次マニフェストの場合のみ記入
  • ⑥最終処分業者名・住所・電話番号を記入
  • ⑦運搬委託業者名・住所・電話番号を記入
  • ⑧処分委託事業場名・住所・電話番号を記入
  • ⑨処分委託業者名・住所・電話番号を記入
  • ⑩最終処分業者が処分を終了した日付を記入

こんな場合は気をつけて!

マニフェストの活用の仕方をご理解いただいたところで、逆にこんな場合は不適切な処分をしている可能性があるので気をつけてください。

  • マニフェストの最終処分票のコピーが欲しかったのにうやむやに断られた
  • マニフェスト票に不審な点があったがしっかり説明をしてもらえない
  • マ二フェストは業者間で使用する書類なので渡せない、と言われた

基本的には、解体工事後のマニフェスト票は施工会社が保管しています。ご要望があればお客様にコピーをお渡ししております。
もし、何らかの手違いで渡し漏れていたとしても法令通りに管理されていれば5年間は保管されている書類なので、5年以内であればコピーを用意できるはずです。

しかし、マニフェスト制度に従った処理を行っていない業者の場合はそれができないので、なんだかんだと理由をつけて提出を拒みます
こんな業者はかなり怪しいので、しつこく確認した方がよいでしょう。

また、すんなり提出されたとしてもマニフェストの内容に辻褄の合わない部分があったり、日付が読み取れないなど不審な点がある場合は、不正に作成された書類の可能性もあります。

こうした偽の書類を作成するというのはかなり悪質なケースですが、実際稀にある事例です。
そうまでして・・・と思うかもしれませんが、廃棄物を適正に処理するというのはそれだけ費用のかかることなので、リスクを冒してもコストを浮かせたいという業者がいるということなのです。

このように「何か変だな」というときは、手元にマニフェストのコピーがあれば、まずはそこにサインのある運搬業者・処理業者・最終処理業者に確認をとってみましょう。連絡した業者がもしも架空の会社だったり、問い合わせたときに処理日に矛盾がある場合などは、そのマニフェスト票はいよいよ信用できなくなってきます。こうなったら区役所など然るべきところへ相談してください。

マニフェストは発行されないこともあります

最後に、マニフェストが発行されない場合もあるのでぜひ覚えておいてください。

1.最終処分まで行っている施工業者が工事を行った場合
そもそもマニフェストとは、いくつかの中間業者が廃棄物処理を行う過程でどのようなルートを辿ってどのように処分されたかを記録するものです。一社がすべての処理を行う場合は、その業者に問い合わせれば廃棄物の顛末がわかるので、マニフェストを発行する必要はありません。
解体工事から廃棄物の処理まで一貫して行うことができる業者は、車両や施設はもちろん、運搬・処分の資格や免許を持っています。
2.保管場所を持っている施工業者が工事を行った場合
廃棄物を保管する施設を持っている業者はマニフェストを発行する必要がありません。
上記の業者は、複数の解体工事の廃棄物をいったん施設に保管しまとめて処分を行っています。そのため、どの廃棄物がどの工事で発生したものかを把握するのが難しいためマニフェストを発行していません。

お気軽にご相談ください

石井
私たち石井商事では、年間250件を超える解体工事を行っております。
とてもありがたいことに、現在では6社のハウスメーカーさんとお取引があり多くの現場をまかせていただいております。
厳しい施工基準に対応するという経験値も積んでいるので、サービスの質や技術には自信があります!

解体工事をお考えなら、ぜひ安心してお問い合わせください。