解体業界の歴史と今後の展望

今後の解体業界

その昔は、建物を壊す専門の業者の存在はありませんでした。

とび職人や大工職人が建物の解体作業を行っていたと聞いています。

 

解体工事を専門に行う業者がでてきたのは、明治の初期頃とされていますので、

解体業の歴史はそれほど長くはないようです。

 

昔のとび職

 

昭和30年代生まれの私でも、母の実家の解体を手伝った経験があります。
親戚のおじさん・おばさん達と30人もの大人数だったと記憶しています。

 

その頃は、親戚や近所の方に手伝ってもらって壊していた家も多かったとおもいます。

昔のことですので、廃棄物という考え方も無く、壊した木材はとなりの空き地に運び、
野焼きをして処分しておりました。

 

古くから解体業を営んでいる業者さんの中には、「○○商店」といった屋号を使っている解体業者さんがいらっしゃいます。

特に、東京近郊に多く存在していたそうで、解体をした木材を古材として販売していたことから、そのような屋号を使っていたようです。

当時は木材が高価な物だったことや、木材が不足していたこともあり、古材であってもとても貴重な材料だったのです。

 

かじ寅バール

私も使っていました。名器「かじ寅」の解体バール

 

東京では、大空襲から逃れた建築物を移築したり、古材として使えるように丁寧に取り外すように解体していたのです。

少しでも傷をつけてしまうと木材の価値が下がってしまうので、とても丁寧に扱っておりました。

 

解体現場から発生した木材、瓦、畳、建具等は一般に販売されていて、
現在のホームセンターの役割していました。

 

 

解体工事の請負の方法も今とはまったく異なり、

 

家主さんにお金を払って、壊しておりました。

 


今では考えられない、古き良い時代ですね。

 

 

現在の解体業界

 

わが国において、解体工事が建築工事の一環として認識され始めたのは、環境への影響や資源の枯渇が社会問題として取り上げられるようになった1990年以降からであります。

 

高度成長期に建てられた建築物が更新期を迎えている現在は、都市部の密集地に限らず、地方でも多くの解体工事が行われており、建設リサイクル法の改正で、従来のミンチ解体から循環型の社会に向けた分別解体が義務付けられているのです。

 

法が整備されたことにより、積極的に3R(リデュース、リユース、リサイクル)を進めて、地域環境に関わる負荷の低減と保全を図る活動を業界全体で推進するように変わってきています。

 

 

解体工事の危険性

 

残念なことに、近年、解体工事からの多くの事故が発生しています。

一般の住宅の解体工事よりも、商業ビル等の解体工事で発生することが多く、死亡事故につながる大きな事故となっています。

 

25日午後1時50分ごろ、福岡市早良区西新の中西商店街で、「解体中の建物が崩れた」と110番があった。警察によると、解体作業をしていた鉄筋コンクリート製の2階建て建物が倒壊した。商店街の幅8mの道路にコンクリート片や鉄骨が散乱し、周辺店舗のシャッターが曲がった。買い物客らにけが人はいなかった。

事故当時は、福岡市の解体業者の作業員5人が工事をしていた。解体は6日から始まり、壁一枚を残す状態になっていて、既に解体を終えた敷地内に重機を使って引き倒そうとした際、誤って反対側の市道に倒れたという。がれきが散乱したため、警察は建物前の市道を通行止めにし、撤去を進めた。建物には、以前、1階に衣料品店、2階にマージャン店が入っていた。直前に建物の前を通ったという男性(66)は、「運が悪ければ下敷きになっていた」と声を震わせた。

出典『買い物客あわや下敷き…解体中ビル倒壊 福岡・早良区の西新商店街』

 

その要因のひとつにあげられるのが、増改築を繰り返した強度の弱い建物です。

たとえば、大きなフロアに間仕切りを作るため安価なコンクリートブロックを天井まで3メートル、15段も積み上げている現場もありました。

他の部分を壊しているときに、さわってもいないブロック間仕切りが急に倒れてしまい、危ない思いをしたことを今でも覚えています。

鉄筋コンクリート造の建物でも、テラスの部分に簡易的な鉄骨柱を建てて屋根を付け、外壁を回しただけで増築している危険な現場も経験しています。

このように、高度成長と共に使い勝手だけを求めて、増改築された強度の弱い建物が耐用年数を過ぎ、解体市場に出てきたことが事故につながっているように思います。

また、大型の解体工事の場合、解体業者はほとんどが下請けという状態で元請けより受注しています。

建設廃材の処理費は日増しに高騰し、業界を取り巻く状況は厳しさを増しておりますが、それに見合う適正な工事期間と工事費用が担保できていない現状があり、それも危険な工事へと繋がっている原因であると考えます。

 

念願の「解体工事業」が業種追加となりました

 

我々解体業者からは、とても喜ばしいことに、「解体工事業」が約40年ぶりに建設業の業種が追加されました。

この前まで28種類だった建設業の業種が29種類に増えたのです。

とび・土工工事業の中に含まれていた「解体工事業」が分離独立して、1つの業種になりました。

 

今までは、500万円以上の解体工事を請け負うためには、とび・土工工事業の建設業許可が必要でしたが、平成28年からは、「解体工事業」が必要になります。

もちろん、経過措置がありますので、平成28年の始動の時までに、とび・土工工事業の許可を持っている方であれば、3年間はとび・土工工事業の許可において、解体工事を請け負うことが可能です。

 

 

「解体工事業」を新設した背景

 

解体工事を取り巻く環境が変化したことにより、工事の施工において、事故を防ぎ、工事の質を確保する必要が生じてきました。

そこで、解体工事においても「施工能力を有する建設業者への発注」、「疎漏工事・公衆災害の防止」、「専門工事業の地位安定、技術の向上」の必要性が認められたのです。
※疎漏とは、大ざっぱで、手落ちがあること

専門職として、必要な実務経験や資格のある技術者を配置することにより、工事の質の向上めざし、新たな専門業種として「解体工事業」を新設させたのです。

 

解体工事業に期待する今後の展望

 

40年ぶりに追加され、専門工事として歩みはじめた「解体工事業」

これは、業界団体あげての悲願でもありました。

今後は業界全体が高い意識をもち、一つ上のステージで活躍していくと考えております。

正式に建設業者としての仲間入りをしたことで、今まで以上に安全な工法の確立や適正な廃棄物の運搬、処分の確保に力を注いでいかなくてはなりません。

所属団体の垣根を越えて、交流できる場ができることも望まれます。

微力ではありますが、私共、石井商事も他の業種に恥ぬよう、解体業界の発展に寄与出来ればと思います。

 

 

 

お気軽にご相談ください

石井
私たち石井商事では、年間250件を超える解体工事を行っております。
とてもありがたいことに、現在でも6社のハウスメーカーさんとお取引があり多くの現場をまかせていただいております。
ハウスメーカーさんの厳しい施工基準に対応するという経験値も積んでいるので、サービスの質や技術には自信があります!

解体工事をお考えなら、ぜひ安心してお問い合わせください。

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